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建て替えが必要な建築物を使用した場合の使用利益



【事件番号】最高裁判所第1小法廷判決/平成21年(受)第1742号

【判決日付】平成22年6月17日

【判示事項】売買の目的物である新築建物に重大な瑕疵がありこれを建て替えざるを得ない場合に,買主からの工事施工者等に対する不法行為に基づく建て替え費用相当額の損害賠償請求において買主が当該建物に居住していたという利益を損益相殺等の対象として損害額から控除することの可否

【判決要旨】売買の目的物である新築建物に重大な瑕疵がありこれを建て替えざるを得ない場合において,当該瑕疵が構造耐力上の安全性にかかわるものであるため建物が倒壊する具体的なおそれがあるなど,社会通念上,建物自体が社会経済的な価値を有しないと評価すべきものであるときには,上記建物の買主がこれに居住していたという利益については,当該買主からの工事施工者等に対する不法行為に基づく建て替え費用相当額の損害賠償請求において損益相殺ないし損益相殺的な調整の対象として損害額から控除することはできない。



 



【事案】



本件は,新築建物を購入した買主が,当該建物に重大な瑕疵があるとして,建物の施工業者等に対し,不法行為に基づき,建て替え費用相当額の損害賠償を請求する場合において,買主が引渡し後当該建物に居住していること等を利益とみてこれを損益相殺等の対象として損害額から控除することが許されるか否かが争われた事案である。